生産者による農産物の収穫および出荷時期の調整、店頭での農産物販売期間の延長、遠隔地への輸送中での農産物鮮度維持などへの応用を想定した農産物の鮮度維持用貯蔵庫を開発しました。
本県は全国有数の農産物生産・供給地域です。生産した農産物の出荷調整、店頭での販売期間の延長、大消費地への輸送中の鮮度低下防止等に活用可能で、しかも低価格・簡便な鮮度維持法の技術開発が求められています。そこで本研究では、吸湿液の湿度調節作用を利用して、最適な貯蔵温度および相対湿度の条件を満足する農産物用鮮度維持貯蔵庫の開発に着手しました。
図1は、平成21~22年度のJST(科学技術振興機構)地域ニーズ即応型研究資金を活用して開発した農産物用鮮度維持貯蔵庫です。吸湿液冷却器、吸湿液の濃度を調節する装置、そして農産物を保管する保冷庫等で構成されています。
図2は、本貯蔵庫を用いて実施したイチゴの鮮度維持実験の風景です。一連の基礎的実験から、本貯蔵庫は、①10℃以下の低温度域で相対湿度80~100%を制御できること、②農産物の鮮度維持特性に優れることが確認されました。今後、実用化へ向けた研究開発に取り組む予定です。
図1 開発した農産物用鮮度維持貯蔵庫
図2 本貯蔵庫を用いたイチゴの鮮度維持実験(青色LED照射中)
(機械電子部)